身代わり忠臣蔵感想口コミレビュー

ムロツヨシさんが好きで、彼が主演する作品だから公開前から楽しみにしていました。また『忠臣蔵』を扱った作品が久しぶりだったので、今度はどんなアレンジを吸うるか楽しみだなと思い、余計な情報を入れず、ムロさんの大暴れっぷりをワクワクして待っていました。

二月半ばの平日でしたが、作品公開初日の金曜日だったことからか、エントランスからチケット売り場には結構な行列ができていました。そのため、フードとドリンクを買うのはちょっと間に合わない感じて我慢しました。

沖縄県那覇市のシネマQです。那覇メインプレスというショッピングモールの中にあり、ゆいレールのおもろまち駅から徒歩7~8分です。既に春を超えて初夏レベルの暖かい日でした。昼過ぎ、13:20~15:30の回で見たのですが、シネコンに着いた時は10:00頃で、一本目に『ガンダムSEED FREEDOM』を見て、少々休憩ののちに本作を観ました

シアター6、シネマQの中では中規模の部屋ですが、スクリーンもそこそこ大きくて、気持ちよくみられる雰囲気でした。こちらは、シートもゆったりとくつろげるサイズ感で気に入っています。場所はE-6で、前に人がおらず、とても快適でした。背後は6割程度埋まっていたと記憶しています。

元禄14年春、江戸城松の廊下に於いて吉良上野介が赤穂藩主・浅野内匠頭に切り付けられたいわゆる赤穂事件。浅野内匠頭は五代将軍・徳川綱吉の逆鱗に触れて即日切腹となりましたが、刃傷沙汰の被害者である吉良上野介も瀕死の重態でした。お家の存続のために、吉良家の家臣団は上野介の双子の弟で既に家から出されて久しい考証を引き入れて、その身代わりにしたのです。しかし、考証は仏門に入ったものの、生来のぐうたらさで修行も怠けているどうしようもないものぐさ坊主で、金が無いと吉良家の屋敷に集りに来ては叩き出されるような男でした。そんな考証でしたが、ある日、川に落ちたところを助けてくれた男と友達になったのです。笑顔の爽やかなイケメン…彼は大石内蔵助と名乗りましたが、実は取り潰された赤穂藩の家老で、吉良家、そして上野介とは不俱戴天の仇であったのです。兄・上野介の身代わりを務めるようになった考証は吝嗇化で家臣に厳しかった兄とは違い、その心の赴くままに家臣や周囲に接し、次第に慕われて穏やかな時間を過ごすようになりました。しかし、彼にも、吉良家の人々にもそれほど時間が残されていたわけではありません。大石内蔵助が率いる赤穂浪士たちは吉良上野介の首を狙い、吉良邸に討ち入りを計画していたのです。

ムロツヨシさん、フリーダム過ぎる!というのがまず最初の感想です。多分、あれは脚本もあって無き賀ごとし…恐らくはがっつりアドリブで、やりたい放題だったんだろうなぁ、と思えるほどです。しかし、それこそがムロツヨシさんの主演作の醍醐味なので、たっぷり楽しみました。しかし、そこにはもれなく彼独特の『毒』もあり、またその『毒』があるからこその『笑い』も『人情』も滲み出るという、計算されていないからこその味を感じます。昭和の時代には一般常識として誰もがその王道で予定調和な『忠臣蔵』を知っていて、知ったうえでさまざまな演者さんの芝居を楽しんでいたものですが、最近では定番の忠臣蔵をドラマ化することも減ってきているので、こういう変化球の展開であっても、映像化されるのは嬉しいものでした。そしてまた、群像劇ならではで、若手の森崎ウィンさんや林遣都さん、さらに寛一郎さんが縦横無尽に暴れまくるのは痛快で爽快、殺陣も見事なものでした!ここから若い世代が忠臣蔵を知って、派生する様々な作品を楽しんでくれると嬉しいですね。松の廊下から吉良家討ち入り、その後の赤穂浪士の切腹の流れは押し留めることはできませんでしたが。それでも最期に救いのある展開で、ムロツヨシさんならではのペーソス溢れる芝居で締めくくられているのはさすがだと思いました。

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