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鳥取の怪鳥・齢17歳のゆるキャラ「トリピー」が全然ゆるくないエピソード

鳥取の怪鳥・齢17歳のゆるキャラ「トリピー」が全然ゆるくないエピソード

パラグライダーで空を飛ぶトリピー

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 3月1日、鳥取砂丘コナン空港が開港し、妖怪・梨・砂以外にも魅力があることをアピールした鳥取県。47都道府県のうち最も人口が少ない、唯一スタバがない、カレールウの消費量日本一、かに類の水揚げ量・購入数量ともに日本一など、フワッとした印象の記録の数々を誇る県であることは、フワッとご存じの方もいるだろう。

 そんな鳥取県の魅力をアピールし続けてきた県のマスコットキャラクター「トリピー」が今、すっかり落ち着き加減のゆるキャラブームの中で存在感を増している。

 今年で齢(よわい)17歳になるゆるキャラ界の重鎮は、ゆるキャラブームの火付け役・みうらじゅんさん風にいうと「ゆるキャラクラシック」枠に属する存在だ。しかし、いまだに体を張って県のために果敢に攻めるPRの姿勢は、他キャラも見習うべきものがある。

 今回はそんなトリピーのゆるキャラらしからぬ、まったくゆるくないアグレッシブな活躍ぶりを一部ご紹介する。

●ゆるくないトリピーその1
恐るべし郷土愛……トリピー、好きすぎて梨になる

 トリピーは、1997年に開催された「夢みなと博覧会」のマスコットとして登場して以来、県の観光をPRするために活動している。その丸いフォルムは鳥取県の特産品・二十世紀梨をイメージしたものだが、梨好きが高じて食べ過ぎたことにより梨化した、というエピソードはあまり知られていない。

 好きこそものの上手なれとは言うが、好きすぎる対象そのものに変化を遂げるほどに何かを愛せる姿勢は、他のゆるキャラ設定でも見習うべきではなかろうか。

●ゆるくないトリピーその2
自力で飛ぶとかナンセンス! 鳥なのに飛ばない徹底ぶり

 トリピーは言わずもがな、鳥をイメージしたキャラクターだ。白く愛らしい羽根はまさしく鳥そのものだが、何かを指す時に指の形になったり、何かを誇らしげに説明する時は腰に手を当てる形になったりと自由自在に変化する。

 だが、肝心の“飛ぶ”という技能については、長年にわたり「飛べないんじゃないか」疑惑が持ち上がっている。「乗ってみたい」というトリピーの意向で、鳥取砂丘でパラグライダーに挑戦した時も、鳥本来の“飛ぶ”という特技を封印し、人工繊維でできた三角形状の文明の利器に身を委ねたのだ。

 さらに、トリピーは鳥取砂丘でも何度かラクダに乗ろうとしているが、ここでも“挑戦”という名目で陸の移動をラクダの足に任せている。これらのエピソードを総合すると、鳥取が誇る名山・大山にも「飛ばずに歩いて登るんじゃないか」という疑念が今日まで拭い去られていないのだ。

●ゆるくないトリピーその3
その3年前からいたわ~ すべてのゆるキャラのルーツ?

 ゆるくないゆるキャラ・トリピーは、ゆるキャラブームが到来する以前の1997年に誕生した。みうらじゅんさんが「ゆるキャラ」という概念に目覚めたのが2000年ごろだから、トリピーはその3年も前から概念としてのゆるキャラとして存在していたことになる。

 実際、みうらさん自身も「トリピーがゆるキャラのルーツだったかもしれない」と語っている。ゆるキャラの“ゆるさ”は、キャラとしての不完全さが愛すべき“ゆるさ”を持っていることを指すものだから、トリピーが何事にも果敢に攻めるエクストリーマーな一面を持っていても “ゆるい”ことに変わりはない。ゆるくない姿勢を追求すればするほど、その挑戦自体が“ゆるさ”として注目されるため、ゆるキャラとしては実に“おいしい”評価につながっているのだ。

 トリピーの攻める姿勢が、まったくゆるくないのにゆるゆるなのは、こうしたロジックから成り立っている。結局のところ、トリピーはゆるいのか、ゆるくないのか。そろそろ分からなくなってきたところで筆を置かせていただくことにする。

文:Yoshika Ozaki/東京ベイ経済新聞