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納豆工場見学をしてみたら、「おかめ納豆」の製造工程がちょっと意外で驚いた

納豆工場見学をしてみたら、「おかめ納豆」の製造工程がちょっと意外で驚いた

おかめ納豆の顔ハメで記念撮影する筆者

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 「納豆」――それはあまりにも日本人の食文化に根付いた食べ物である。筆者も子どものころから数えきれないほど食べてきた。ご飯にかけたり、キムチと混ぜたり、油揚げに入れて焼いたりと、納豆には本当にお世話になったと思う。

 そんな納豆だが、その製造工程があまりにも想像とかけ離れているらしいとのうわさを耳にした。今まで、納豆の製造工程のことを考えてみたこともなかったが、大豆を発酵させて納豆になったものをパックに詰めていく……という単純な話ではないのだろうか。

 気になって仕方ないので、納豆工場見学に行ってその製造工程を確かめることに。見学先は、あの「おかめ納豆」でおなじみ、全国の納豆生産量シェア1位を誇るタカノフーズである。

 茨城県小美玉市にある本社・水戸工場の正門を通り、すぐ左手にあるのが「納豆博物館」だ。納豆の起源や歴史、納豆菌のメカニズムなどをわかりやすく説明している。しかも、入館料は無料。おかめちゃんの顔ハメもあり、この博物館だけでも十分楽しめる。

 納豆工場見学は、最初にVTRで納豆の作り方などの予備知識をインプット。見終わったら、歩いて工場へ向かう。その道すがら、フワっと漂ってくる納豆の香り。なかなか期待に胸が膨らむルートだ。

 納豆工場へ到着すると、まず1つ目の工程の見学から始まるのだが、ここでいきなり驚くべき工程が始まった。お馴染みのあの白いケースにいきなり大豆がザザーっと入って、パッキングが始まったのだ。私の勝手なイメージで、納豆は巨大な樽のようなもので発酵されてから、最後にあの白いパックに詰められるものだと思っていた。だが、全く順番が違うのである。

 実際には、煮た大豆に納豆菌をかけ、まだアツアツで発酵していない大豆を白パックに入れていたのだ。さらに、薄い被膜シートを被せ、からしの袋を入れてそのままパッキング。つまり、パック詰めされた時点では、まだ納豆になっていないただの煮えた大豆だったというわけだ。よくよく考えて見れば、でき上がってからパック詰めすると糸を引いてしまうだろうし、こちらの方が効率的ではあるが。

 タカノフーズ納豆工場見学の案内人によると、タカノフーズ水戸第1工場で製造される納豆は、(季節によって異なるが)1日に約200万パック。店頭で目にする「おかめ納豆極小粒」には、280~300粒の大豆が入っているそうだ。納豆1パックに、そんなに多くの大豆が入っていたのね……。

 なお、パック詰めしてから納豆になるには18~20時間くらいかかるそうだ。さらに、大豆を煮る前、水に浸す時間もかなり重要で、これまた季節によっても異なるが「極小粒」に使われている丸大豆で10~20時間、ひきわり納豆用の大豆では3時間程度の浸し時間を取るという。

 正直、ちょっと邪魔な納豆の上のフィルムの意味についても聞いてみた。あのフィルムは「被膜」という名称で、乾燥や雑菌の混入を防ぐ大切な役割があり、おいしい納豆作りには不可欠なものだと教えてくれた。もうこれからは邪魔なんて言わないわ!

 ちなみに、今回見学した水戸第1工場で作られた納豆には、賞味期限表示の横に「A」の文字がある。茨城県内の工場で作られた納豆には、AかKかBの印字がされているのだ。

A:水戸第1工場

K:水戸第2工場

B:茨城工場(協力工場)

「なぜAKB……?」と聞くと、「偶然です」笑う案内人。おかめ納豆を店頭で見かけたら、ぜひチェックしてみてほしい。その他の工場の印字マークも、公式サイト「ネットワーク」→「納豆工場」タブから確認できる。いま冷蔵庫にある納豆がどこ工場で作られたものなのかを確認してみるのも面白いかもしれない。

 タカノフーズの納豆工場見学は最後に納豆や豆腐の試食もあり、すべて無料とは思えない充実の内容だった。納豆好きの方は、一度足を運んでみることをおすすめする。

(取材・文/ひにしあい)