400円でベロベロに? 秋葉原の100均居酒屋「百飲」に三十路女2人で行ってみた!
景気が上向きと言われても、正直なところ昇給も少なくイマイチ実感できず……。「お小遣いが増える見込みゼロ」「カネを使うとカミさんの目が厳しくて」「とにかく安く酔っぱらいたい」など、周囲からはそんな声が漏れ聞こえてくる。しかし、酒飲みの皆さんなら懐が寂しくても、やはり外で楽しく飲みたいのが本音ではないだろうか。
100均居酒屋、店内の雰囲気
さて、私は今月とてもピンチである。次の給料日までに使えるお金は1日500円。それでも店で飲みたいと騒いでいたら、「100均で飲める居酒屋があるよ」と友人が教えてくれた。280円均一の居酒屋が増えていることは知っていたが、100円均一とは! しかも飲み物も食べ物も100円だなんて! そんな呑兵衛パラダイスがあると聞いて、その日の仕事帰りにさっそく友人と女2人で100均居酒屋「百飲」に行ってみた。
場所は、東京・秋葉原にある雑居ビルの2階。店内に入ると、そこには呑兵衛たちのユートピアが広がっていた。9割以上を占めるお客さんがおじさまだ。ワイワイとにぎやかなフロアを抜けると注文カウンターがあり、お姉さんが2人忙しそうに動き回っている。
注文はキャッシュオン形式で、置いてあるつまみと飲み物をカウンターで都度お会計するシステムだ。ビールは1杯200円だが、ハイボールは100円。4種類からウイスキーも選べる。つまみはほとんどが100円で、一部商品が150円で提供されている。
100円のつまみ4つとハイボールを2つ注文。600円分の酒宴が冒頭の写真である。1人当たりたったの300円。十分すぎるラインアップである。つまみの量もおいしさもしっかりしていて、このお得感は半端ない。
速攻で1杯目を飲み干し、2杯目のハイボールを購入。ちょっとおなかも落ち着いたので、狭い店内を見回してみると、近くの人と意識せずとも「背中の会話」をするくらいに混み合っていた。背中同士が触れ合ってしまい、「あ、すみません」のあれである。
思い切って、背中が触れ合っていたおじさんに話しかけてみることに。推定150円の揚げ物を指さし「このつまみどうですか?」と聞くと、若干食い気味におじさんは笑顔で「おいしいよ、食べてみなよ!」と、残金100円の私に快くつまみをすすめてくれた。
話しかけたおじさん2人組は40歳。高校時代の同級生同士だというので、単刀直入にお小遣い事情を聞いてみたところ、こう話してくれた。
「今日のテーマが『安く飲む』だからここに来てみたわけよ。懐が寂しいからってわけじゃないよ。え? よく行く居酒屋? 『ニューカヤバ』とかかな? がはは!」
それって、むちゃくちゃ安くて有名な茅場町のセルフ居酒屋じゃないですか!
「まあね。おれたち、かれこれ3時間飲みまくっているけど、おれまだ1500ベロしか使ってないからさ(単位は円ではなくベロらしい)。だからお姉さん、このクイズに正解したら、好きなものおごってあげるよ! 100円だけどね! わははは!」と上機嫌に言い出したので、ここから別のパーティーも巻き込みながら、3杯もごちそうになってしまいました。ありがとう、心やさしい酔っぱらいのおじさまたち。
閉店時間の21時30分を迎え、結果的に400円で十分満足な酔っぱらい具合になった(スタバのグランデサイズのラテより安い!)。店中のお客さんが手元に100円玉を並べながら飲んでいるから、お互いに「この1杯はおごるよ」「じゃ、次は俺が買ってくるよ」みたいな雰囲気ができ上がっていた。
もちろんこの価格なら、自腹でも1,000円台で大満足できるだろう。今回、私たちは「せんべろ」どころか500円も使わずにわりとベロベロになり、上機嫌でそのまま帰途に。秋葉原・百飲はまさに、呑ん兵衛たちのユートピアだった。
取材・文:ひにしあい